シーティングの常識は、工学分野から見たら非常識

みなさん、図を見てください。

この図を見て、すべての方が「B」が良いクッションだと思うことでしょう。

車椅子クッションの答えとしては正解です。

しかし、自動車のシート、新幹線のシート、ジャンボジェット機のシート、はたまた皆さんが仕事場で使っている事務椅子等、工学やインテリアの視点からすると「不正解」です。

それは、座骨などは感覚として鈍感な部分、大腿部の裏の部分は大きな筋や腱があり、神経や血管、リンパが数多くあるので非常に敏感な部分。だから鈍感な部分は強い圧を入れて、敏感な部分はやさしく触れる。

ということで、工学や人間工学、インテリアや建築の世界では、「A」が正しいクッションの圧特性であると言われています。

という事は、皆さんが普段から使っている椅子は、Aの圧特性で生活しているという事になります。

これは、ある実験で、老若男女の被験者に「A」の圧特性と「B」の圧特性それぞれ2時間ほど座ってもらう実験で、一番体動が多く、座り心地がわるいと感じた健常者は「B」を選んだそうです。

我々人間の脳には意識と無意識があります。ここに様々な刺激が入ります。視覚、聴覚、嗅覚、運動、触覚、圧覚、振動等たくさんの電気信号が脳に送られます。これら感覚刺激がすべて意識下で処理されるとどうなるでしょう。脳はショートしてしまいます。このため、感覚入力の大半が無意識化で処理され、今置かれている状況に合致したものだけ意識にあがるように調整されています。

さて、座っているときはどうでしょうか?座っているときに骨盤や座骨にかかる圧がずっーとBの圧特性で座っていると、ヒトは無意識のうちに感覚がほしくなって体を動かしシートの前の硬いところに座り、圧を欲します。その状態から背もたれにもたれると、仙骨座りになりお尻が痛くなります。そこでまた座りなおすという悪循環が発生します。

このため、工学やインテリア、建築業界ではAの圧特性で椅子を作るのです。

・・・という事は、シーティングの姿勢制御技術もひとつではダメだ。という事になりませんか。

急性期や回復期の前半はBの圧特性でいいでしょう。しかし、リハビリが進み、プラットホームで端坐位が取れるようになってきたら、座骨や骨盤への感覚入力が必要です。その身体状況でいつまでもBの圧特性で座っていていいでしょうか。感覚が入らない状況は、無意識に圧を欲する反応から姿勢不良を起こします。

プラットホームでは座れるのに、車椅子に座ると崩れるのはなぜだろう。。。という症例に出会ったときはこの現象が影響しているかもしれません。

だからこそ、シーティングや姿勢保持は、ADLに合わせて行う、回復段階に合わせて行うという事が必要になります。

このような技術を具現化するためには「ものづくり」を行えば解決できるのですが・・・それは、また、別の話で・・・・

日本ユニバーサルリハビリテーション協会

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