「ともだちに学こうで サンタはいない つ ていわれました。
ほんとうに サンタさんはいるのか
おしえてください。」
りんか7さい(投稿文のまま記載)
【注】 今回のブログは、あなたのお好きな「クリスマスソング」と共にお読みください(ユニリハ一同)
りんかちゃん。しつもんありがとう。
そのむかし、おなじしつもんをした女の子がいました。
アメリカにすむ8さいのヴァージニアという女の子です。
しつもんは りんかちゃん とおなじで、こんなお手紙でした。
「こんにちは、しんぶんのおじさん。
わたしは八さいのおんなのこです。
じつは、ともだちがサンタクロースはいないというのです。
パパは、わからないことがあったら、サンしんぶん、
というので、ほんとうのことをおしえてください。
サンタクロースはいるのですか?」
ヴァージニア・オハンロン(原文のまま記載)
それからしばらくすると、ニューヨーク・サンしんぶんから、へんじがかえってきました。
それは、このような おはなしでした。
■■■ サンタクロースはいるんだ
(当時の原文のまま記載 翻訳:大久保ゆう氏)
ヴァージニア、それは友だちの方がまちがっているよ。
きっと、何でもうたがいたがる年ごろで、見たことがないと、信じられないんだね。自分のわかることだけが、ぜんぶだと思ってるんだろう。
でもね、ヴァージニア、大人でも子どもでも、何もかもわかるわけじゃない。この広いうちゅうでは、にんげんって小さな小さなものなんだ。
ぼくたちには、この世界のほんの少しのことしかわからないし、ほんとのことをぜんぶわかろうとするには、まだまだなんだ。
じつはね、ヴァージニア、サンタクロースはいるんだ。
愛とか思いやりとかいたわりとかがちゃんとあるように、サンタクロースもちゃんといるし、そういうものがあふれているおかげで、ひとのまいにちは、いやされたりうるおったりする。
もしサンタクロースがいなかったら、ものすごくさみしい世の中になってしまう。
ヴァージニアみたいな子がこの世にいなくなるくらい、ものすごくさみしいことなんだ。
サンタクロースがいないってことは、子どものすなおな心も、つくりごとをたのしむ心も、ひとを好きって思う心も、みんなないってことになる。
見たり聞いたりさわったりすることでしかたのしめなくなるし、世界をいつもあたたかくしてくれる子どもたちのかがやきも、きえてなくなってしまうだろう。
サンタクロースがいないだなんていうのなら、ようせいもいないっていうんだろうね。
だったら、パパにたのんで、クリスマスイブの日、えんとつというえんとつぜんぶを見はらせて、サンタクロースをまちぶせしてごらん。
サンタクロースが入ってくるのが見られずにおわっても、なんにもかわらない。
そもそもサンタクロースはひとの目に見えないものだし、それでサンタクロースがいないってことにもならない。
ほんとのほんとうっていうのは、子どもにも大人にも、だれの目にも見えないものなんだよ。
ようせいが原っぱであそんでいるところ、だれか見たひとっているかな? うん、いないよね、でもそれで、ないってきまるわけじゃない。
世界でだれも見たことがない、見ることができないふしぎなことって、だれにもはっきりとはつかめないんだ。
あのガラガラっておもちゃ、中をあければ、玉が音をならしてるってことがわかるよね。
でも、目に見えない世界には、どんなに力があっても、どれだけたばになってかかっても、こじあけることのできないカーテンみたいなものがかかってるんだ。
すなおな心とか、あれこれたくましくすること・したもの、それから、よりそう気もちや、だれかを好きになる心だけが、そのカーテンをあけることができて、
そのむこうのすごくきれいですてきなものを、見たりえがいたりすることができる。
うそじゃないかって? ヴァージニア、いつでもどこでも、これだけはほんとうのことなんだよ。
サンタクロースはいない? いいや、今このときも、これからもずっといる。
ヴァージニア、何ぜん年、いやあと十万年たっても、サンタクロースはいつまでも、子どもたちの心を、わくわくさせてくれると思うよ。
■■■ りんかちゃんへ
わたしたちユニリハも、ヴァージニアやサンしんぶんのおじさんと同じように、
サンタクロースはいると思います。
広い世界を調べてみると、ほんとうに見たという人もいますし、プレゼントをもらっている人はたくさんいます。
りんかちゃんだって、サンタさんからプレゼントをもらったことがあるでしょう?それはりんかちゃんも世界のみんなも、サンタさんのことが好きだからです。
パパが好き、ママが好き、ともだちが好き、ネコが好き、イヌが好きという気持ちと同じ気持ちなんだよ。
その好きな気持ちは、今も昔もずっと先の未来まで世界中とつながっています。
そしてその好きという気持ちをずっと大切にしていれば、幸せとしてりんかちゃんにかえってきます。
それが1年に1度来てくれるサンタさんであり、プレゼントです。
でも、もし世界中の人たちが「サンタさんはいない。」「サンタさんなんて、うそだ。」という心のままでは、サンタさんは、やがて消えてしまうことでしょう。
サンタさんがトナカイやプレゼントと一緒に、ほんとうにいなくなる時は、みんなの心の中に好きという愛の気持ちがなくなった時だと思います。
でも大丈夫。たくさんのプレゼントを準備して今年もやってきますよ。
だって、今年は、こんなにたくさんの なみだが流れても、世界中の人たち、がんばったから。
サンタクロースはかならず、遠くから見ています。
だからね、りんかちゃん。
サンタさんは、ほんとうに、いるんだよ。
引用文献 「 サンタクロースはいるんだ 」
ニューヨーク・サン新聞 1897年9月21日 社説欄
Yes, Virginia, There is a Santa Claus
ニューヨーク・サン紙社説
(担当:フランシス・ファーセラス・チャーチ)
The New York Sun (written by Francis Pharcellus Church)
翻訳の底本:
The New York Sun (1897) “Yes, Virginia, There is a Santa Claus”
上記の翻訳底本は、著作権が失効しています。
翻訳者:大久保ゆう
2002年10月1日初訳
2011年12月9日改訳
2011年12月9日作成
ヴァージニアはその後、ニューヨークの学校の先生になって、47年間 子どもたちを教えつづけたそうです。