REVIVAL記事
現在の状況
depemokimab(デペモキマブ)は2024年12月に英国で重症喘息治療薬として承認され、2026年現在、欧州各国での承認審査が進行中です。日本国内では、まだ承認申請の段階には至っていませんが、国際的な臨床試験データの蓄積が続いています。
元記事のタイトル
「年2回の注射」で発作を抑える新しい生物学的製剤の登場
読者の皆様へのご報告と感謝
この度、上記の記事が公式ジャンル「健康・ヘルスケア」において668位にランクインいたしました。
多くの読者の皆様に関心を持っていただき、心より感謝申し上げます。
喘息治療という専門的なテーマでありながら、これほど多くの方々に読んでいただけたことは、それだけ喘息で悩まれている方、またはご家族に患者さんがいらっしゃる方が多いということの表れだと感じています。
せっかくこのテーマに興味を持っていただけたので、元記事では十分にお伝えできなかった「生物学的製剤とは何か」「なぜ今、喘息治療が変わろうとしているのか」といった背景情報や、「日本における重症喘息治療の現状」について、さらに深掘りしてお伝えしたいと思います。
元記事はこちら:
https://ameblo.jp/kataritehakase/entry-12952102158.html
REVIVAL記事タイトル
【背景解説】なぜ「年2回の注射」が可能になったのか?
生物学的製剤が切り拓く喘息治療の新時代

Prologue(プロローグ)
「生物学的製剤」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、乾癬など、さまざまな難治性疾患の治療で使われ始めているこの薬剤群は、実は喘息治療においても、ここ10年ほどで急速に存在感を増しています。
しかし、「生物学的製剤とは何なのか」「なぜ従来の薬と違うのか」「どうして年2回の投与で効果が続くのか」といった根本的な疑問については、一般にはあまり知られていません。
今回のREVIVAL記事では、元記事で紹介したdepemokimabを含む「生物学的製剤」がなぜ注目されているのか、その背景にある科学的・医学的な発展の流れを、できるだけ分かりやすく解説していきます。
episode
そもそも「生物学的製剤」とは何か?
生物学的製剤(バイオ医薬品)とは、生物が作り出すタンパク質を利用した医薬品のことです。
従来の化学合成によって作られる低分子医薬品(いわゆる”普通の薬”)とは根本的に異なり、遺伝子組み換え技術などを用いて、細胞に特定のタンパク質を作らせることで製造されます。
その特徴は以下の通りです。
・分子が非常に大きい(高分子)
・特定の標的にピンポイントで作用する
・効果が長く持続しやすい
・製造コストが高い
喘息治療で用いられる生物学的製剤の多くは、モノクローナル抗体と呼ばれる種類で、体内の炎症を引き起こす特定の物質(サイトカイン)だけを狙い撃ちにする働きを持っています。
喘息治療における生物学的製剤の歴史
喘息に対する生物学的製剤の歴史は、意外に長く、最初の承認は**2003年(米国)**にまで遡ります。
当時承認されたのは**オマリズマブ(商品名:ゾレア)**という薬剤で、IgE(アレルギー反応に関わる抗体)をターゲットにしたものでした。
その後、以下のような薬剤が次々と開発され、承認されていきました。
2015年:メポリズマブ(ヌーカラ) → IL-5をターゲット
2016年:レスリズマブ(シンクエア) → IL-5をターゲット
2017年:ベンラリズマブ(ファセンラ) → IL-5受容体をターゲット
2018年:デュピルマブ(デュピクセント) → IL-4/IL-13をターゲット
2021年:テゼペルマブ(テゼスパイア) → TSLPをターゲット
そして今回、**depemokimab(デペモキマブ)**が加わったことで、選択肢はさらに広がっています。
なぜ「年2回」で効くのか?
ここで最も重要な疑問が浮かびます。
「なぜ年に2回の注射で、半年間も効果が続くのか?」
その答えは、薬剤の”設計”そのものにあります。
depemokimabは、IL-5に結合する抗体ですが、その構造が従来の抗体製剤よりも「長く体内に留まる」ように最適化されています。
具体的には、
・抗体の分解を遅らせる構造変化
・体内での半減期(薬が半分になるまでの時間)が非常に長い
という特性を持たせることで、1回の投与で数ヶ月にわたって効果を発揮し続けることが可能になっています。
これは、バイオ医薬品開発における**「分子設計の進化」**の成果であり、単なる投与量や濃度の調整だけでは実現できない、高度な技術に支えられています。
日本における重症喘息治療の現状
日本国内では、すでに複数の生物学的製剤が承認されており、重症喘息患者の治療選択肢は確実に広がっています。
現在、日本で使用可能な主な生物学的製剤は以下の通りです。
・オマリズマブ(ゾレア) → IgE依存性の重症喘息
・メポリズマブ(ヌーカラ) → 好酸球性重症喘息(4週ごと皮下注射)
・ベンラリズマブ(ファセンラ) → 好酸球性重症喘息(初回3回は4週ごと、その後8週ごと)
・デュピルマブ(デュピクセント) → 2型炎症を伴う喘息(2週ごと皮下注射)
・テゼペルマブ(テゼスパイア) → 重症喘息全般(4週ごと皮下注射)
これらの薬剤はいずれも、月1回程度の投与が基本となっており、depemokimabのような「年2回投与」という薬剤は、日本ではまだ承認されていません。
しかし、国際的な承認の流れを考えれば、今後日本でも同様の長期作用型製剤が登場する可能性は十分にあります。
患者さんにとっての「投与頻度」の意味
医療従事者にとっては「月1回」も「年2回」も大きな違いに見えないかもしれません。
しかし、患者さんにとっては、まったく別次元の話です。
月1回の通院には、以下のような現実的な負担があります。
・仕事や学校を定期的に休む必要がある
・遠方の専門医療機関まで通う交通費と時間
・毎月のスケジュール調整のストレス
・「治療を受け続けている自分」を常に意識させられる心理的負担
これが年2回になれば、
・生活のリズムを崩さずに治療を継続できる
・”病気中心の生活”から”生活中心の医療”へ転換できる
・旅行や出張、ライフイベントとの両立が容易になる
といった、QOL(生活の質)の劇的な改善が期待されます。
生物学的製剤の「使い分け」が重要
重要なのは、「新しい薬が出たから、それが最良」という単純な話ではないという点です。
喘息は非常に多様な病気であり、
・好酸球が多いタイプ
・IgEが高いアレルギー型
・炎症の主体がIL-4/IL-13によるタイプ
・複数の炎症経路が混在しているタイプ
など、患者さんごとに病態が異なります。
そのため、どの生物学的製剤が最適かは、血液検査や症状パターン、過去の治療反応性などを総合的に判断して決める必要があります。
depemokimabのような長期作用型製剤も、あくまで「選択肢の一つ」であり、すべての患者さんに適しているわけではありません。
今後の展望:個別化医療の時代へ
これからの喘息治療は、
「すべての患者に同じ治療」
↓
「一人ひとりの病態に合わせた最適な治療」
という方向へ確実に進んでいます。
そのためには、
・詳細なバイオマーカー検査
・治療反応性のモニタリング
・患者のライフスタイルや価値観を反映した治療選択
といった、個別化医療(precision medicine) の視点が不可欠です。
生物学的製剤の選択肢が増えることは、医療の複雑化を意味する一方で、より多くの患者さんに「自分に合った治療」を届けられる可能性を広げることでもあります。
Epilogue(エピローグ)
喘息治療における生物学的製剤の登場は、
単なる「新しい薬の開発」にとどまりません。
それは、
「病気を抑え込む医療」から「生活を支える医療」へ
「症状管理中心の治療」から「人生の質を守る治療」へ
という、医療そのものの価値観の転換を象徴しています。
depemokimabのような長期作用型製剤の登場は、その流れをさらに加速させるものであり、今後も科学と医療の進歩によって、患者さん一人ひとりが「自分らしく生きられる医療」が実現されていくことを期待しています。
ユニリハでは、これからも最新の医療情報を、専門性と生活者目線の両方を大切にしながら、分かりやすくお届けしてまいります。
最後に
改めまして、今回の記事にご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
ランクインという結果は、読者の皆様お一人おひとりの応援があってこそのものです。
これからも、医学的に正確でありながら、生活に役立つ情報発信を続けてまいりますので、引き続きご愛読いただけますと幸いです。
皆様の健やかな毎日を、心より願っております。
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