■■■ ユニバーサル リハビリテーションの原理 ■■■
原理
【身体質量に対する反作用を限りなく小さくし、全身にわたる広範囲の支持基底面で感覚入力を行う】
原理数式化
数式 p×s=mg
p : pressure 圧力
s : Square 面積
mg : gravitational mass 重力質量
この原理を【 Universality Principle 普遍性原理 】と定義します。
原理を正確に具現化すると、図1のような体圧分散の特性になります。
※注:図1、図2共に、20代男性、身長175㎝、体重65kgで同じ人物です。
比較対象として、『体圧特性にもっともすぐれている』と言われるエアマットと比べてみてください。図2にエアマットの耐圧特性を示します。
以下に、図1と図2の比較ポイントを示します。
①mmHgが示す数値の比較
②mmHgの示す範囲の比較
③支持基底面の広さの比較
原理を具現化すると、図1のように数mmHgの圧が、全身にわたる状況で、身体輪郭まで支持されている環境になります。この環境になるとヒトは重力を感知する事はまず不可能です。このような重力を重力として知覚できない環境は、この世界にたった一つだけあります。
そう、それは宇宙空間です。宇宙空間にいった宇宙飛行士は呼吸や心拍は安定し、肩こりや腰痛の寛解、高いリラクゼーション効果と著しい筋力低下や筋緊張の低下が起こります。そして数カ月の宇宙空間での作業や活動により、地球に帰ってくると抗重力筋は廃用し、立っていることもままならない状況となります。
確かに、宇宙空間では問題となる現象も地球上で一時的に使うだけならどうでしょうか。地球上にいる限り重力からは決して逃れられません。しかし、「p×s=mg原理」の環境に身体を置くことで、宇宙飛行士の身体におこる現象と類似の現象が起こります。身体に返る圧特性が全身にわたり数mmHgという環境は、反作用や床反力が微小でありヒトの脳で圧を知覚できない環境です。この環境にすることで、人の身体にどんなことが起こるのでしょうか。その結果は当協会が研究を行っている、『ポジショニングR.E.D.システム』や『ポジショニングBL_UEシステム』にてご紹介してます。
原理を具現化した効果は、各研究会のページをご参照ください。
重力が影響する事で発生する圧力を数mmHgにする。これがユニバーサルリハビリテーションの技術であり、すべてに繋がる治療原理となります。
■■■ ユニバーサル リハビリテーションは自然科学です ■■■
ユニバーサル リハビリテーションの原理は、自然科学です。
特に物理学を根拠としています。
物理学を大まかに分野に分ければ、「ニュートン力学」、「電磁気学」、「熱力学」、「量子力学」、「相対性理論」の5つになりますが、ユニリハの治療原理はニュートン力学を用いてリハビリテーション治療を行います。
このため、原理を理解するには、まずニュートン力学の3つの法則から復習する必要があります。それでは簡単にニュートン力学をふりかえってみましょう。
■■■ ニュートン力学 ■■■
第1の法則the first law of motion (慣性の法則Law of inertia)
【質点は、力が作用しない限り、静止または等速直線運動する】
力=0(一定)のときは物体は静止しており、力が加わると等速直線運動を行う。
そもそも力とは何だという事を定義しており、力というものは物体の位置を変化させるものであるとニュートンは言っています。
たとえば、宇宙空間をイメージして下さい。宇宙は、地球や他の天体から及ぼされる重力が非常に弱く、重力や身体質量など重さが限りなく小さくなるので、運動の第1法則が成立します。もし宇宙空間で作業を行う宇宙飛行士が、宇宙船の壁を手で押したなら、彼はその反作用として壁から押した力と反対向きの力を受け、宇宙船からどんどん遠ざかり、その速度も一定です。壁から手が離れた後は、宇宙飛行士は力を受けない状態に置かれるため、運動の第1法則に従って、彼は直線的な軌道を描きながら等しい速さで宇宙船から遠ざかって行くことになります。
また、「この法則は慣性系の宣言を果たす意味をもつため、第 2 法則とは独立に設置される必要がある」(砂川重信 (1993)。と言われています。
第2法則the second law of motion(運動方程式Equation of motion E.O.M)
【 加速度は力に比例し、質量に反比例する 】
運動の第1法則 は、力を及ぼされなければ物体はその運動状態を変えない、すなわち、物体はその速度を一定に保ち続ける、と述べています。それでは、力を及ぼされたら物体は運動状態をどのように変化させるのでしょうか。これに答えるのが 運動の第2法則 ( the second law of motion ) であり、それは次のように言い表されます:
『 物体の運動量が単位時間に変化する量は、物体が受ける力に等しい。』
質点の加速度 は、そのとき質点に作用する力 に比例し、質点の質量 に反比例する
加速度は力に比例、質量に反比例を言葉にすると
- 『 aの加速度は力Fに比例して 質量mに反比例する』となり更に式として詳しく表現すると
- 『 aの加速度は力Fに比例』とは
a ∝F
- となり、更に『質量mに反比例する』とあるので式は
a ∝F/m
となります。
- これだとまだ式とは未完成なので・・・力の単位を適当に合わせると
a =F/m
これですっきりとまとまりました。
a =F/m → ma = F
と、高校物理でおなじみに出てくる式になります。
また、運動方程式は、位置ベクトルの時間に対する 2 階の常微分方程式であるため
このようにも表せます。
ある時刻の位置と運動量(あるいは速度)を与えれば、あらゆる時刻の運動状態が確定する方程式であり、その意味で、ニュートン力学は決定論的です。
たとえば、軽トラックが0kmから時速50kmに行く時間と、大型トラックが0kmから時速50kmに到達する時間は違うよというイメージです。
第3法則the third law of motion(作用・反作用の法則Law of action and reaction)
『物体(壁)を押すと、押した力の分だけ物体(壁)も押し返す』
このような、運動の第3法則を数量的に表してみましょう。
物体1と物体2という二つの物体があります。物体1が物体2に及ぼす力を F12 とし、物体2が物体1に及ぼす力を F21 としたとき、運動の第3法則は
F21 = -F12
と表されます。
物体を質点と置き換えてみると、二つの質点 1, 2 の間に相互に力が働くとき、質点 2 から質点 1 に作用する力 F21 と、質点 1 から質点 2 に作用する力 -F12は、大きさが等しく、逆向きである。またこの現象は、電磁気学でも当てはまります。
■■■ ユニリハの治療原理 ニュートン力学 第3法則 作用ー反作用の法則 ■■■
ニュートン力学。学生の頃を思い出しますね。
ユニリハでは、このニュートン力学の中でも特に第3法則である『作用ー反作用の法則』を用いてリハビリテーションを行います。
地球上のあらゆる物質は地球の重力の影響により引きつけられています。このため、地球上で生活するためには、身体内部に重力に抗して姿勢を保持したり運動したり、生活するための力を発生させなくてはいけません。これを『抗重力』といい身体に組織的につくられる状態を『抗重力システム』と呼びます。
この抗重力システムと作用-反作用による反作用や床反力とのつり合いやバランスが、私たちの生活を円滑なものにし、地球上で生活ができています。もし、身体に障害や怪我が起こった場合、このバランスを再獲得したり、代償方法を身につけるためにリハビリテーションが存在します。このように、我々は重力に抗する事も必要ですが、重力を最大限利用して生活しているという2つの側面があります。
しかし、一度障害や怪我が起こると、もともと利用していた重力と抗重力システムの拮抗は破綻し、リハビリテーションの足かせのように機能回復に影響していきます。科学が進んだ現代では、素晴らしい手技や医療的処置がありますが、一般化や再現性があるとは言えません。この現実からは、筋力増強訓練、バランス訓練、歩行訓練などあらゆる動作に疲労や倦怠感の蓄積、異常筋緊張が見られるようになります。
ユニリハの原理は、重力と質量を拮抗させ、反作用を微小にすることができます。反作用が微小になれば、重力による足かせはどうなるでしょうか。身体に返る圧が小さい環境になると疲労や倦怠感はどうなるのでしょうか。筋の収縮様式は、異常筋緊張に変化は起こるのでしょうか。身体にかかる圧が小さくなるという環境でリラクゼーションはできるのでしょうか。
皆さんも、もしも自分自身の身体に「重力という作用が小さくなったら」という観点で想像してみてください。そこに、これまで想いもつかなかった治療手段が見えてくるはずです。
■■■ 原理を実践化したのがUniversality theory ( 普遍性理論) ■■■
ユニリハの原理、Universality Principle 普遍性原理を具現化し、臨床で使えるようにしたものがUniversality theory ( 普遍性理論)です。
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