第16回東京都作業療法学会

7月7日(日)東京都作業療法学会の発表を大勢の方が聴きに来てくださいました。ありがとうございました。                  青木將剛

「ポジショニングによる廃用手から補助手への変化」~手指機能症状固定10年後の変化の軌跡~

【ビーズクッション型採型機という身体型取り装置を用いてポジショニングを行うと、全身耐圧特性が3~9mmHgの1桁台の範囲に位置することが分かった。全身の型取りであるため、身体背面全体に密着した支持基底面が得られ感覚入力が起こる。この環境で異常筋緊張を呈した症例に対しポジショニングを行うと、耐圧特性が小さいことからリラクゼーションを生み、症状の緩解や関節可動域に変化が起こることをR.E.D.環境、BL_UE環境として発表している。今回は、10年前にくも膜下出血を発症した70代の女性に行ったところ、過緊張状態で症状固定された左麻痺側上肢に変化がみられ、ADLに影響した症例に関わる事ができた。】                           ADL獲得までの経過とリラクゼーションと姿勢変化、手指機能変化の関係性について考察する。

【考 察】本症例の変化は、以下の機序によって得られたと考える。①3~9mmHgという全身に微弱で広い支持基底面のポジショニングはリラクゼーション効果をつくり、②身体背面全体からの感覚入力訓練へとつながり、③過緊張が抑制され左右対称の姿勢を獲得した。この結果、中枢の安定が得られた遠位の四肢や手指の筋緊張亢進状態は抑制され廃用手から補助手の機能を獲得した。以上から、ポジショニングによるリラクゼーション効果が全身の過緊張を抑制し、その後の日常生活やリハビリで全身が促通され、症状固定10年後のADL動作獲得につながったと考える。

Q. 変化した状態は、訓練後どのくらい持続しますか。

A. 疾患や発症からどのくらい経過したかによりますが、変化した筋緊張は必ず持続します。脳血管障害で1~2日です。その後、日常生活や訓練で再び筋緊張が亢進します。亢進してきたら、その都度介入し、筋緊張制御を行います。次第に介入の頻度が少なくなり、安定した筋緊張状態になっていきます。整形外科疾患や廃用症候群はもっと長く3~4日です。最も長く持続した方は2週間でした。長期療養生活が長いほど、一度に緩む範囲が広く、持続時間が長い傾向があります。

Q. どのようにポジショニングを行うのですか。

A. 病室のベッドでは使わず、訓練室で30分行います。訓練も関節可動域訓練やストレッチなど現在臨床で行われている訓練プログラムで、特別な事はしていません。

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