ユニリハ版ポモドーロ治療プロトコル
― 時間周期による神経負荷制御モデルの理論的構築 ―
Prologue|治療は「量」ではなく「周期」である
リハビリテーションにおいて、私たちは長らく「どれだけ行ったか」「どれだけ耐えたか」を成果指標としてきた。
しかし臨床現場では、量を増やした瞬間に機能が崩れる症例を数多く経験する。
人間の脳と身体は、直線的には回復しない。
自然界と同様に、そこには明確なリズムと周期が存在する。
本稿では、時間管理技法として知られるポモドーロ・テクニックを、
神経生理学・認知科学・リハビリテーション理論の観点から再解釈し、
治療プロトコルとして体系化する。
Ⅰ.理論背景
注意機能、覚醒水準、作業記憶は、いずれも時間とともに変動する有限資源であることが知られている。
持続的な集中は、神経疲労を引き起こし、遂行機能や判断力の低下を招く。
一方、適切な休息を挟むことで、神経活動は再統合され、
パフォーマンスが回復・向上することが報告されている。
Ⅱ.ユニリハ版ポモドーロ治療プロトコルの基本原理
原理① 覚醒水準周期調整原理
人間の覚醒水準は一定では維持できず、上昇と低下を繰り返す。
本プロトコルは、集中(覚醒上昇)と休息(覚醒低下)を
意図的に周期化することで、
神経活動を安定的に制御する。
原理② 神経疲労の予防的遮断
疲労が顕在化してからの休息では、回復に長時間を要する。
本プロトコルでは、疲労兆候が出現する直前で
活動を遮断することにより、神経疲労を未然に防止する。
原理③ 成功体験高密度化原理
短時間で完結する課題を複数回達成することは、
自己効力感の形成に寄与する。
これは精神的リハビリテーションにおいて
極めて重要な治療要素である。
原理④ 緊張―弛緩交替原理
交感神経優位状態と副交感神経優位状態は同時に成立しない。
両者を明確に分離し交替させることで、
神経系の同調と再統合が促進される。
ユニリハ的定義
ユニリハ版ポモドーロ治療プロトコルとは、
注意・覚醒・疲労の三要素を時間周期によって制御し、
治療効果と継続性を最大化する
神経リハビリテーション手法である。
Ⅲ.臨床的意義
本プロトコルは、認知リハビリテーション、精神科リハビリテーション、
発達支援、高齢者ケアなど、幅広い領域に適用可能である。
時間設定は固定値ではなく、対象者の神経状態に応じて調整される。
Epilogue|自然界に近づく治療へ
自然界に直線は存在しない。
すべては揺らぎ、循環し、回復する。
治療もまた、自然の一部であるべきだ。
本プロトコルは、
「頑張らせる治療」から
「整える治療」への転換点となる。
時間を区切ることは、人を縛るためではない。
人を守るためである。
参考文献
- Cirillo, F. (2006). The Pomodoro Technique.
- Baddeley, A. (2007). Working Memory, Thought, and Action. Oxford University Press.
- Kaplan, S. (1995). The restorative benefits of nature. Journal of Environmental Psychology.
- McEwen, B. S. (2007). Physiology and neurobiology of stress. Physiological Reviews.
- 厚生労働省:リハビリテーションに関する基礎資料
