プロローグ
最近、自分の食事量について考えることがある。
牛丼屋に行っても並盛を食べきれない。
定食屋に行っても半分くらいでお腹がいっぱいになる。
結局、持ち帰って後で少しずつ食べる。
若い頃はもっと食べられた気がする。
しかし栄養学や老年医学の話を聞いていると、面白い事実がある。
若い頃から中年期までは「腹八分目」が推奨されることが多い。
ところが高齢になると話が変わる。
今度は「しっかり食べましょう」「低栄養に気をつけましょう」と言われるのである。
なんだか不思議ではないだろうか。
タイトルコール
行ってみる
—
人間の身体は不条理だ。でも、だから人生は面白い。
食べられる時代には食べ過ぎる
人間は若い頃、とにかくよく食べる。
食べても太らない人もいるし、運動量も多い。
しかし社会に出ると運動量が減り、ストレスは増え、気づけばお腹まわりが気になり始める。
そこで今度は、
「食べ過ぎに注意しましょう」
となる。
腹八分目。
適度な運動。
生活習慣病の予防。
確かに大切なことである。
—
本当は食べなければいけない年代になると食べられなくなる
ところが60代、70代、80代になると状況が変わる。
食欲が落ちる。
噛む力が弱くなる。
飲み込む力も落ちる。
胃腸の働きも若い頃ほどではなくなる。
すると今度は、
「もっと食べましょう」
という話になる。
筋肉を維持するためにも。
免疫力を保つためにも。
活動的な生活を続けるためにも。
本当はその年代こそ栄養が必要なのだ。
しかし皮肉なことに、その頃には食べる力そのものが衰え始める。
医療や介護の現場で見えてくること
医療や介護の現場で多くの人を見ていると感じることがある。
口から食べられなくなると、人は少しずつ元気を失っていく。
もちろん病気の影響もある。
しかし「食べる」という行為は、それ以上に大きな意味を持っている。
食べることは生きること。
食べることは楽しむこと。
食べることは人とつながること。
だから食事量が落ちてくると、身体だけでなく心も少しずつ元気を失ってしまうことがある。
—
人間は死ぬ方向に進んでいるのか?
時々思う。
人間の身体は、もしかすると最初から死へ向かうように設計されているのではないかと。
若い頃は無理ができる。
しかし無理をする。
年齢を重ねると知恵がつく。
しかし身体がついてこなくなる。
なんとも不思議な生き物である。
自然界には目的がないと言われる。
それでも私たちは健康を守ろうとする。
運動をする。
勉強をする。
リハビリをする。
人生を少しでも豊かにしようと努力する。
それは自然に逆らう行為ではなく、人間らしい行為なのかもしれない。
—
エピローグ
考えてみれば、人生はずいぶん不条理だ。
若い頃は食べ過ぎるなと言われる。
年を取るともっと食べろと言われる。
若い頃は身体が元気なのに無理をする。
年を取ると知恵がつくのに身体が追いつかない。
でも、それでいいのかもしれない。
完璧に合理的な人生なんて、きっと面白くない。
だから今日も美味しいものを食べよう。
歩けるうちに歩こう。
笑えるうちに笑おう。
人生は不条理だ。
だからこそ、案外おもしろい。
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